オリンピック出場権獲得方式が変わったのはなぜ?

東京五輪からその出場権獲得方法が大きく変更になっていたことをご存知でしょうか?

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従来の五輪出場権獲得方式

元々ワールドカップは五輪の予選を兼ねた大会ではありませんでした。遡れば、1989年大会までは五輪の翌年に開催されていたのですが、五輪翌年ともなるとベテランが引退していたり、若手を起用するなど五輪や世界選手権に比べてワールドカップに重点を置かない(昨今でいうグラチャンのような大会になりつつあった)チームが出てこないよう、1991年大会から五輪前年に移動し、上位チームに五輪の出場権を与えることで大会のレベルを上げ、三大大会の一つとしてより権威のある大会に変更となりました。そのため89年大会から91年大会までの間隔が2年となっています。

ワールドカップバレー1991年大会(画像:フジテレビ)

五輪翌年に大きな大会がなくなったことで新たに1993年に創設されたのがワールドグランドチャンピオンズカップ(通称グラチャン)です。

グラチャン→世界選手権→ワールドカップ→オリンピック

という4年周期で大きな大会が長らく行われ、オリンピックの出場権は

  • ワールドカップ上位チーム
  • 大陸別選手権
  • 世界最終予選

という形で与えられていました。ただ五輪出場権を持っているチームが五輪予選に相当するワールドカップに出ると、理論上はわざと負けたりすることで上位チームの順位を操作する(嫌がらせをする)ことが可能なわけで、そういったことが起こらないように、2007年大会から五輪開催国はワールドカップには出られないという規定が設けらたのです(2007年大会は中国が、2015年大会はブラジルが世界一決定戦にも関わらず出ていません)。

察しの良い方はこれにより生じる矛盾にお気づきではないでしょうか。

この規定はとりあえず2007・2011・2015年大会までは良かったのですが、2019年大会で問題が生じることになります。

ワールドカップバレー1977年大会(画像:フジテレビ)

そもそもワールドカップという大会は1977年に日本で男女同時開催を行った際に、その興行的な成功や当時の関係者の尽力もあって以後日本での恒久的な開催が決定されます。つまり2019年大会も日本で開催されることが決定していたわけですが、翌年の2020年の五輪も東京(日本)開催。

もうおわかりですね?

五輪開催国はワールドカップに出られないという規定を守れば、日本は開催国にも関わらず2019年大会に出られなくなってしまいます。しかし特例で日本を出場させていまうと、過去に出場を認められなかった中国やブラジルが納得しませんよね。そのためワールドカップ2019では五輪の出場権を獲得できるというプロセスがなくなったと私は推測しています。

結果的にワールドカップ2019は、その直前まで東京五輪の出場権をかけた大陸間予選が行われていたため、フルメンバーで参加しない国、途中から合流(メンバーの変更を認める特例措置)する選手がいたり、三大大会の一つとしてその意義が問われる大会となりました。

また女子ではセルビアが順位操作することで世界ランクを調整し、東京五輪の予選グループ分けで楽な日本と同じ組に入るようにしたのではないか?という疑惑も生まれた大会となってしまいました。セルビアは日本戦でも不可解な日本の大逆転勝利を演出してくださいました笑 世界バレー2018の時もセルビアとの一度目の日本戦の時は露骨にメンバーを落として、ブラジルをベスト6に残さいない作戦に出たのでは?という疑惑もあったり、なにかとなんやかんやあるセルビアですが、この恩恵を一番受けているのは日本という(2008OQTでは日本がセルビアに貸しを作ったとも…)。

このことが原因かはわかりませんが、ワールドカップという大会そのものが消滅の危機にさらされています。そもそも大会が多くて過密日程、しかも試合結果が即世界ランクに反映されることで特定の選手への負担も大きくなり、選手側からの不満が噴出しています。ワールドカップに関してはずっと日本開催という謎規定(2023年大会以降は公募する話もありました)。

FIVBからの公式アナウンスはありませんが、2020年に以下のような記事が出ています。

バレーW杯&グラチャン消滅 新たに五輪予選設定へ…世界大会の日本開催なくなれば競技普及に痛手 - スポーツ報知
 バレーボール世界4大大会のワールドカップ(W杯)とワールドグランドチャンピオンズカップ(通称・グラチャン)が廃止されることが3日、分かった。世界選手権の次回2022年大会は、女子はオランダとポーラン

東京五輪の出場権獲得方式

上記の通り、最終的にワールドカップで五輪の出場権を与えるというプロセスがなくなったため、新たに五輪予選の大会が開催されることになります。

Qualification Process
The Olympic Games Tokyo 2020 have now been moved to be held from 23 July to 8 August 2021, the International Olympic Committee has announced, while retaining th...

東京五輪開催国の日本を除く世界ランク上位24チームを4チームずつの6グループに分けて総当たり戦を行い、その優勝6カ国に出場権を与えるという大陸間予選です。

残りの5枠はアジア・ヨーロッパ・北中米・南米・アフリカの各大陸別選手権の優勝5カ国です。

シンプルと言えばシンプル。FIVBのサイトを見ていたら、フランスはヨーロッパ予選の予選リーグでブルガリア・オランダに負けてギリギリ予選通過、準決勝もスロベニアとフルセットの死闘を経ての五輪出場件獲得だったんですね。

2年後に迫ったパリ五輪の出場権獲得方法は、すでにご存じの方も多いと思いますが、またここから変更が加えられます。

これはまた別記事にてご紹介します。

Bitly

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